そもそも、コンピュータって何?

最近のニュースや、日経xxの記事を見ていると、「コンピュータ」はなんでも出来る道具のように皆が理解をしているようで、すごく心配です。
そもそも、「コンピュータ」って何でしょうか。
しっかり理解できている人って、どのぐらい居るんでしょうか。所詮(といったら、大家に怒られるかもしれませんが)、人間が考えた”道具”でしかないのです。
道具であるからには、できることは限られているはずなのですが、それに無限の可能性を感じるのはよいものの、過度な期待感を無理やり醸成しているようでなりません。
コンピュータの歴史から考えて見ましょう。
最初は、歴史書からも分かるとおり、コンピュータは戦争のため(弾道計算)に使われたといわれています。それまで、ダイヤル式の計算機を何十人何百人体育館のような広い場所で弾道計算をしていた処理を、コンピュータを使うことによって、短時間に処理をできるようになったようです。これが、いまや手のひらに乗るようなサイズのチップで、当時のコンピュータからは想像も出来ないほどの高速処理が出来るように発展してきました。
この頃のコンピュータの役割は、”計算”でしかなかったわけです。
計算を繰り返す中で、毎回入力データを人間が入れなければいけないことに皆不便に思い、コンピュータに記憶機能を持たせようとしたのが、その次の段階です。当時はフェライトコア(永久磁石の周りに電線を巻いたコイル状のもの)で記憶をしていたものが、今のハードディスクやフラッシュメモリーのような半導体メモリーへとの発展をしてきました。
これでコンピュータに、”記憶”機能がつきました。
コンピュータが”記憶”を出来るようになると、たくさんのコンピュータの間で、その”記憶”の共有ができればもっと便利ではないか、ということが考えられるようになり、”通信”の技術が生まれました。特殊なモデムを通じた通信や、専用線を用いた通信から、今の光ファイバーや無線を用いた通信へと発展してきました。
誤解を恐れずに言えば、”コンピュータ”の機能は、この
・計算
・記憶
・通信
の3つしかありません。”コンピュータ”は魔法の箱ではなく、この3つの機能を組み合わせて処理をしているだけなのです。コンピュータはそれ以上でもそれ以下の存在でもありません。
ERPのパッケージや、巨大なシステムで”コンピュータ”がすごいことをしているように皆思っているとおもいますが、最終的には、計算し計算したものを覚え覚えたものを伝送し合っている、だけの処理でしかないのです。
何が言いたいかというと、コンピュータシステムを作ったり、提供したりする人は、この3つの機能にきちんと分解をして、コンピュータに出来ることと、人間がやらなければいけないことを分類してほしいのです。
この3つの処理は、人間には出来ません。円周率を瞬間的に計算したり、百科事典100冊分を暗記したり、地球の裏側に居る人にメッセージを伝えたりすることは人間には出来ないはずです。(特殊な能力を持った人もいるので、百科事典100冊ぐらい暗記する人もいるかもしれませんが・・・)
この人間に出来ない機能をコンピュータに肩代わりさせることが、真のIT化ではないでしょうか。システム化をするときに、”人間には出来ない処理は何か”という観点で物事を整理してみれば、自ずと自社での”コンピュータ”の利用目的が明確になってくるとおもいます。この利用目的がはっきりしたときに、真のIT化ができるのではないでしょうか。
皆さんの会社では、”コンピュータ”の利用目的は明確になっていますか?