FACOM M180

FACOM M180
自分は、将来コンピュータ関係の仕事をしたかったので、高校から電気科を選びました。
#電気班なんていう怪しい部活があったのも、電気科があったからです。
電気科で主に使っていたコンピュータは、
FACOM M180
(機種名は記憶が曖昧・・・。リンク先のほどの構成でなく、最小構成のものでした)
主記憶装置は、ハードディスク。といっても、今の3.5inchや2.5inchの小型のものでなく、大きさが子供用の自転車の車輪ぐらいある大きなもの。今のハードディスクは密閉型ですが、当時のものは密閉型でなく、ディスク装置に固定するのにも六角レンチで固定をした記憶があります。相当高価なものだったので、学生にはなかなか触らせてもらえませんでした。
一応ハードディスクはありましたが、学生が作ったプログラムを保存するためには利用させてもらえず、保管用のプログラムはすべて紙テープへのコピーで対応してました。
入力装置は、紙(パンチ)カード。いまや、入力装置はキーボードというのが当たり前ですが、当時は学生分コンソールを準備することなど費用が高くできませんから、生徒はパンチカードでプログラミングをしていました。
出力装置は、プリンターのみ。そもそも、JCLを走らせるための端末しか端末は無かったので、結果はすべてラインプリンターからの出力のみ。
FOCOMで学んだ言語はFORTRAN。当時は、言語が目的別に作られている時代で、FORTRANは科学技術計算向きの言語と呼ばれていました。電気科ですから様々な電気関係の計算をFACOMを使って行った計算しレポートを作った記憶があります。
パンチカードのプログラミング、といわれても若い人にはイメージも付かないことでしょう(って、若い人っていう表現がいやなんですけどね・・・)
パンチカードとはこれです。宝くじのナンバーズのようなものですね。

パンチカードは、一枚がプログラム一行相当になっています。
マークシートになっていて、横に40桁(だったかな?記憶が曖昧)の文字をマークできます。縦軸に0・・9(これも記憶が曖昧)マークする矩形があって、たとえば、”A”という文字を確か”3”と”0”をマークすればよかったとおもいます。慣れてくると、Aは、どの数字の組み合わせだったかを覚えるので、対応表を見なくてもマークをしていけるようになりました。
パンチカードの特徴は、一行が一枚のカードなので、たとえば100行のプログラムを作ったら100枚のパンチカードになります。大作になると、500枚とか1000枚のパンチカードになります。データもパンチカードからの入力なので、データが多いプログラムなどは、数千枚のカードを入れる必要があります。大変なのはカードの持ち歩き。教室でプログラミング(といっても、マークカードのマークをして)、電算室に持っていくまでの廊下で何回もカードをぶちまけた経験があります(当時から落ち着きがなかったのですね・・・)。
ぶちまけると大変なのは、カードの並びがばらばらになってしまうこと。半泣きになりながらカードの並びをあわせた記憶があります(後に、カードを束にして横に斜線を引くことによって、並びがばらばらになっても戻しやすくする、という工夫を思いついたりしました)
パンチカードは一枚一行で大量になってしまうので、数千枚のカードを使うようなものは、その後穿孔機を使って紙テープにコピーをしました。これが紙テープ。

紙テープは、昔の人であればわかるとおもいますが、上図のように、宇宙戦艦ヤマトで出てきた紙テープに、穴が開いているもので、これをコンピュータが読み込んだのです。
紙テープもパンチカードも基本的な考えは一緒で、紙テープの横一列がパンチカードの縦一列に相当しています。慣れてくると、紙テープを蛍光灯に透かして、”目”でソースを確認し紙テープを見るだけでデバックなんかをしてました。
この当時の大型コンピュータの良かったところは、記憶装置・出力装置・入力装置・主処理装置が目に見えたこと。実際に目に見える巨大な其々の装置が目の前にあるので、自分の作ったプログラムがどこで処理をされていて、どこに出てくるのかが分かりやすいんですよね。今のコンピュータは、すべての機能が小さな筐体に入れられているので、この”実体験”がやりにくいですよね。実体験をしているからこそ、”コンピュータって何”っていうとてもベーシックな部分が理解できたんだとおもいます。
当時は、”いまさらこんなデカイコンピュータで勉強するの”といやいやだったのが正直なので(同じ時期には、既にPC9801,8801などが登場していた頃ですから)すが、今振り返って考えてみると、とても貴重な経験をしていたということなんでしょうね。
最近、人生何事においても、無駄なことは無いなぁと思うことが多いのですが、この出来事もその1つですね。