筆とキャンバスと絵の具

ちょっと真面目モードで。
IT業界に身をおいていると、「技術力」の評価って凄く凄く難しいと、感じることが多いです。
特に、コンピュータをまったく知らない人にとっては、コンピュータに向かってキーボードをパチパチやるだけでアプリケーションが出来上がる、と思ってるんでしょう。
そういう人たちに、評価してもらうためにはどうすればよいのか。
たとえば絵画。
絵画もキャンバスに絵の具で描いた、だけのもの。
これに、画家の「技術力」が加わることによって、一般人がキャンバスに絵の具で描いたものとはまったく違うものが作られるんですよね。
コンピュータシステム。
これも、コンピュータの上にプログラムを書いて動かした、だけのもの。
これに、プログラマーの「技術力」が加わって、一般人が書いたプログラムとはまったく別のものが作られるんですよね。
絵、はそのすばらしさが一般人にも評価されたりしますが、プログラマのソースコードが、一般人に評価されるってことは無いですね。
この辺りが、「技術力」の評価の難しさなんじゃないかなぁ、と最近考えたり悩んだり。
個人的には、プログラミングはアートにも通ずるものがあると思っているので、この画家とプログラマを同じモデルとして、プログラマの凄さを表現して、コンピュータをまったく知らない人に評価してもらうために使えないかなぁ、と思ってるんですが如何でしょう。
アートの世界のように、一般人が見ても分からないけど、専門家が評価した、という情報だけで一般人も「これが凄いアートなんだぁ」と思い込むのと同じで、プログラマの書いたソースも、専門家が評価してもらえたら、一般人もその情報から、「この人は凄い人なんだ」と評価をしてもらえるようになるのかな。
そういえば、自分が過去の仕事で、最高に難しいアルゴリズムを考えていて(それができないと、開発していたソフトウェアが使えなくなってしまうような根っこの部分の処理)、ごく狭い範囲ではあるものの著名な人(mac関係では)とコンサルティング契約をしていたので教えを請いたのですが、「わからん」と一蹴されてしまって。
でも何とかしないといけないプロジェクトで、寝ずに考えて凄いアイデアと簡潔なアルゴリズムを見つけることができ、それをその人にそのアルゴリズムを話ししたら、「それは凄い!!」って手放しでほめてもらえて。
その瞬間に、自分が素人に毛が生えたエンジニアからプロのエンジニアになれたんだ、と自覚できた瞬間だったのを、この記事書いていて思い出しました。
やっぱり、「凄い人」から評価してもらう、っていうのが、評価される人にとっても、評価を聞く人にとっても大事なんだ、ということを再認識。
まぁ、当たり前といえば当たり前ですが、そんな当たり前なことだけに忘れてしまっていたことを思い出せました。