慈善家へ

この業界にいる人なら、すでにご存知の情報だとおもいますが、米マイクロソフト(MS)の創業者、ビル・ゲイツ会長は27日、本社でのパーティーで社員を前に「これからもMSのことや皆さんがやろうとしている素晴らしい仕事のことを考えない日はないでしょう」とあいさつ、経営トップとして最後の日を締めくくったそうです(毎日新聞)。
ギズモードにも出てました「ビル・ゲイツが泣いた日」
7月からは、完全に引退をし、慈善家になる、そうです。
自分が、ビルゲイツにものすごく興味を持ったのは、BASICやWindows、それにIBMとの戦いや、OS/2の裏切りなどの話、ではなく、社長失格という本で、この本の著者板倉さんがビルゲイツにプレゼンをし、結果としてはそのアイデアが採用されなかった、という経緯とみて、ビジネスマンとしての洞察力のすごさや、世の中への影響のすごさを感じてからです。
ビルゲイツはエンジニアではなく、先を見抜く力と、それらを成し遂げるために必要な方法を考え出す才能が抜群です。一介のエンジニアであれば、技術はすべて自分で獲得する、という方向に行き勝ちですが、彼は必要なものは外部から直ぐに調達し、それを必要としている人たちに直ぐに届ける、ということをやりました。
当時、「ソフトウェア」というものがビジネスになる、というところに目をつけた先見性、それをビジネスにするために、売り込みの方法と顧客の期待値のコントロールが抜群でした。
そのセンスが、最終的に世界一の金持ち(昨年は抜かれたようですが)に彼をのし上げたんですよね。
技術者としては、彼をまったく崇拝するつもりはなく、Microsoftという会社も、まったく好きになれない(逆に今のマイクロソフトはソフトウェア業界をゆがめている一因でもあるかもしれません。もちろん貢献も大きいですが)ですが、ソフトウェアというものの価値を決め、それをビジネス化した功績は、この業界の立役者としてものすごく評価されるべきものなんでしょうね。
当時は、ソフトウェアはハードウェアのおまけ、という概念でしたから…。
今後は慈善家として世の中に自らの富を再配分していくようですが、名声目的だけでなく、本当に必要な人たちに本当の貢献をしてあげてほしい、と思います。